現高1生が大学受験をする時から始まる大学入学共通テストですが、少しずつ全貌が見えてきました。今後も情報が出てくるのでこの辺でひとまずまとめてみようと思い記事にしました。今後この記事は新しい情報が出次第、追記していきたいと思います。
大学入学共通テストとは
入試改革は何のために行われるか
『学力の3要素』(1.知識・技能、2.思考力・判断力・表現力、3.主体性を持って多様な人々と 協働して学ぶ態度)を育成・評価することが重要であり、「高等学校教育」と、「大学教育」、そして両者を接続する「大学入学者選抜」を一体的に改革し、それぞれの在り方を転換していく必要があります。
文科省のサイトによると学びの3要素を育成評価するために入試改革が必要であり、そのために行われるのが大学入学共通テストということになりますね。
大学入学共通テスト科目は?記述問題も?
簡単に概要をまとめておきます。
- 実施:2020年度から(現高1生から)※過年度生に別問題は作成しない方向
- 教科:6教科30科目(センター試験と同じ)
- 国語:総合国語で記述式の問題を3問
- 数学:数1で記述式の問題を3問
- 英語:民間試験を活用
既卒者の扱い
2020年から大学入学共通テストは実施されますが、既卒者(浪人生)の扱いはどうなるのでしょうか?
大学入試センターによると浪人生向けの問題を別に作成するなどの配慮はしないとのことでした。
また、英語の民間試験は高3時に受けた検定結果も2020年度時に使えるとのことです。
大学入試英語成績提供システム
大学入試英語成績提供システムとは、英語民間試験の成績を一元的に集約して各大学に提供するシステムです。
受験生一人一人に共通IDが発行されるようです。
→「『大学入試英語成績提供システム』の概要」について<大学入試センター>
大学入学共通テスト英語の外部検定試験
英語の外部検定試験で利用できる検定
大学入学共通テストの英語では「ケンブリッジ大学英語検定・TOEFL iBTテスト・IELTS ・GTEC・TOEIC・TEAP・実用英語技能検定(英検)」の検定が利用されることに決まりました。
※TOEICは参加を辞退しました(2019年7月2日追記)
→英検など2020年大学入学共通テストの7つの英語民間試験を解剖!
最も身近な検定試験として受験者も多くなるだろうと予想される英検ですが、従来型は選外となりました。
まだ実績のない新型英検(2020 1day・2020 2day)と受験地の限られる英検CBTが採用されることになりました。
※2dayは特別な事情がない限り受検できません。
英語民間試験とCEFR
いくつかの検定を同じ尺度で判断するためにCEFRという基準が利用されます。
問題点
民間試験を大学入学共通テストで導入することについては、公平性・金銭的負担など問題は山積しています。
高2で受験した試験を使える特例も
基本高3又は既卒での受験が必要な民間試験ですが、高2での受験が認められる例外も発表されました。
・受検に極めて不便な地域にお住まいであるなど負担の軽減が必要な家庭の受験生で、高校2年の時点で十分な成績(すなわち、文部科学省が公表しているCEFR対照表のB2以上に該当する結果)を得た人
・病気で長期間入院しているなど受検の機会が得られない人
しかし、このことがさらに混乱を深めているようにも思えます。
2019年高2での結果が使える特例について詳しい情報が出ました。
→高2の英語民間試験結果が共通テストで使える条件はこれ!【対象者は有利に!?】
活用方法
3年生以降の4月から12月の間の2回までの結果が利用できます。また、配点は国立大学協会で英語全体の2割以上が例として挙げられています。英語全体の2割ならそれほど影響はないと考えていましたが、公立大学の首都大学東京が英語民間試験導入を理由に英語の個別試験廃止を発表したので、志望校によってはかなりの割合を占める可能性が出てきました。
活用方法としては国大協が「出願資格」または「加点」のどちらか、または両方を各大学の裁量で利用するというガイドラインを出しています。
また、公大協は認定試験の利用方法はあくまで各大学の判断に任せるという発表をしています。私立大学も独自の活用方法をしているので志望校に合わせた対策が必要になりますね。
東京大学の動向
各大学がどのように取り入れるのかが気になるところですが、中でも他大学にも影響力のある東京大学の英語民間試験に対する動向が特に注目されています。
2018年 3月
東京大学は英語民間試験を合否の判定は利用しないと発表しました。成績の提出はするけれど、合否ではなく入学してからの追跡調査に使うとのことでした。
2018年 4月
合否判定に使わないと発表した1か月後に衝撃の発表が!「やっぱり合否判定につかいます」100%方向変換です。東大内でどんな動きがあったのでしょうか?
2018年 7月
具体的な活用方法を夏までに結論を出すと言っていたその夏が来ましたよ。そこでまた驚きの答申が。実質英語民間試験を利用しないという内容でした。
提案1:出願にあたって認定試験の成績提出を求めない。
提案2:認定試験をめぐる諸課題への対応について文部科学省ほか関係機関からの具体的かつ詳細な説明を受け、十分に納得のいく回答が得られたらその時点で 認定試験の活用可能性について検討する。
提案3:認定試験の A2 レベル以上の結果を出願資格とするが、一定の条件のもとに 例外を認める余地を残し、可及的速やかに具体的な要件を定める。
ただ、あくまで東大内のワーキンググループの答申で、東大の正式発表ではないという姿勢です。
2018年 9月
東京大学が初年度は英語の民間試験を活用しない方針を示しました。
英語民間試験を大学入学共通テストに導入する際の問題点を指摘する書籍も参考になります。
大学入学共通テスト国語・数学の記述問題
センターで問題をつくり、採点は民間業者を活用。
試行調査(プレテスト)の結果、正答率が低すぎる、自己採点との差が大きすぎるなどの問題点も指摘されています。
下記のサイトで問題点が詳しく解説されています。ぜひご覧くださいね。
新共通テストにおいて記述式問題を導入することの9の問題点(11/23日追記版) - rochejacmonmoの日記
eポートフォリオも活用
学校の授業や行事、部活動などでの学びや自身で取得した資格・検定、学校以外の活動成果や学びを記録し入試に活用できるeポートフォリオも活用される。これはすべての大学が利用するわけではないが、すでに多くの国公立私立大学で導入が決まっています。学力だけでなく高校生活を通して何をしたかが問われることになりそうです。
早稲田大学でも合否には利用しないものの2012年度(現高1受験時)から出願の際「経験」を記入するように入試制度を変更するのも話題になりました。
大学入試への導入として信州大学が調査書を点数化して合否判定に用いることを発表しています。推薦入試だけでなく一般入試でも1年生からのいわゆる「学校の成績」が入試に使われるとことになるので、今後他の大学にも広がっていくのか気になるところです。
大学での導入方法
2018年夏を目途に各大学が試験の方法を順次発表するようです。(2年前に入試の方法を発表するという「2年前ルール」というのがあるんだそうです。)今後の各大学の動きが気になりますね。
大学入学共通テスト試行調査
大学入学共通テストを行うにあたり、2回の試行調査が行われその結果も公表されています。
試行調査では平均点がとても低かったり、国語の記述問題の採点など問題が残ったようです。
自己採点が正確にできなかった生徒も3割いたようで、出願の判断が難しくなる可能性もあります。
大学入学共通テスト対策
学校での授業をしっかり受けることがまずは大前提となっていますが、今までとは違った対策も必要になりそうですね。
2020年の教育改革に向けて新しい学習方法も紹介されています。
近年の大学入試は私立大学定員厳格化による合格者大幅減や大学入試改革により、より一層戦略を練る必要があります。
制度を知っているのと知らないのでは大違いです。
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