2020年度実施の大学入学共通テストに向けてこれまで2回の試行調査(プレテスト)が行われてきました。
大学入学共通テストでは思考力をはかる問題や記述問題が出される点などで注目を集めています。
4月4日に2回目の試行調査(プレテスト)の結果報告がでたので、受験生の保護者の目線で紹介しますね。
試験の内容などは全く分からないのでご了承くださいね。
大学入学共通テストの導入に向けた平成30年度(2018年度)試行調査(プレテスト)の結果報告及び地理歴史A科目の参考問題例について
記事内のページ表示は「大学入学共通テスト導入に向けた試行調査の結果報告」のページを表します。
「大学入学共通テスト導入に向けた試行調査の結果報告」と報道各社の記事のを元に気になった点を紹介しますね。
試行調査(プレテスト)の結果:数学
数学では記述式の問題が導入されます。
数学1Aの得点
数学1Aの平均得点率は30.12%。記述式問題を除いた85点満点中25.61点です。(P6)
低くないですか?
他の教科の平均得点率が50%前後になっていることを考えると特別低くなっています。
数学の記述問題
数学の記述問題の正答率はさらに低いものになっています。
数学は数式で答える問題が2問、触れるべき内容を含む短文を書かせる問題が1問で、数式の正答率は5.8%と10.9%▽短文は3.4%(無解答は62.0%)。
マーク式の問題と合わせた平均点は26.61点(100点満点)となっています。
対応策は以下の通りです。
センターは「問題の量と試験時間のバランスに課題が残った」とし、難易度は見直さずに分量を減らす方針を示した。
数学の記述式正答率は最低3.4% 大学共通テスト試行調査(毎日新聞) - Yahoo!ニュースより
今後試行調査は行わないようですが、このような問題がこれくらいの量でますよという問題例はでるのでしょうかね?
試行調査(プレテスト)の結果:国語
国語の記述の問題に関してはこちらの記事が詳しかったので参考にさせてもらいました。
国語の記述式、「誤字・脱字」厳しく問わず 疑問の声も:朝日新聞デジタル
正答率を上げるために問題を簡単に
1回目の試行調査(プレテスト)の結果、正答率が低かったため今回は問題を工夫したようです。
文字数が同じ長さの記述式問題で引用すべき資料や、「書かなくていい要素」を具体的に例示した。完全正答率は15・1%に上昇し
ということで、問題を簡単にしたことで正答率が上昇したようです。しかし
ただ、正答率の上昇を優先した結果、テストの性格が変わってしまう懸念がある。「国語教育の危機」の著者の紅野(こうの)謙介・日本大文理学部長は「記述式で見ようとしたのは、考えを自由に表現する力だったはず。示された条件に合わせて書く『情報処理力』しか問えない問題を、コストをかけて導入する意味があるのか」と疑問を投げかける。
というような意見もあるようです。全くですよね。
今回このような示された条件に合わせて回答する問題になったのは短時間に大規模採点する必要性によるものだとも書かれています。
正答率を上げるため、採点をしやすくするために問題が設定されているようですが、これで本当に国語の記述力を見ることができるのでしょうか?
コストも考えると思考力を問えるようなマーク式問題を工夫した方がいいのではないでしょうか?
「誤字・脱字」は厳しくは問わない
小学校のテストから解答文に誤字がある場合は減点されてきたと思いますが、共通テストでは減点されないこともあるようです。
「誤字・脱字」は厳しくは問わない。センターは今回、「共有」を「供有」と書いたり、「向かって」を「向って」と記したりした解答は、文意や文脈が条件に合っていれば正答とした。「記述式問題は思考力などを問うのが主な目的のため、漢字の正確な記述より内容面を重視した採点を行う」と判断したためという。
これで表現力を見ることができるんでしょうかね?
また、全ての誤字脱字をを減点しないというわけではなく、あくまで文意や文脈が条件になっている場合となっているので、減点されることもあるのでしょうか?
自己採点がますます難しくなりますね。
自己採点の不一致率が3割
センター試験では自己採点をして最終的にどこに出願するかを決定する受験生が多くいます。
おそらく共通テストでも同じような流れになると思ます。しかし、ここでも問題が。
国語では記述問題が導入されたため、3問ある記述問題の自己採点の不一致率は次の通りになりました。
自己採点の不一致率は30・2%、33・4%、28・2%
正答率、国語は改善も数学は… 大学入学共通テスト試行:朝日新聞デジタルより
約3割の生徒の自己採点が実際の採点とずれがあったということですね。
不安しかありませんが混乱しないでしょうか?
共通テストの後、もちろん受験生自身も自己採点すると思いますが、学校や予備校の先生にも採点をお願いすることになるでしょうね。大変そうです。
記述式の結果は大きな点差につながる可能性も
国語の記述式の問題の評価は1点刻みの点数からの脱却のために5段階評価になります。
記述式問題の結果はマークシート問題に加点し、最高点の目安は「全体の2割程度」とした。単純計算すると50点の配分で、段階が一つ変わると10点上下することになる。
ちょっとした採点のずれが10点もの点数差につながる可能性があります。
自己採点の不一致によって、思っていたより10点も実際の試験の点数が変わってくる恐れもありますね。
試行調査(プレテスト)の結果:英語
英語は民間試験の導入とリスニングの配点が大きくなったことが共通テストの大きなポイントです。
英語の筆記(リーディング)とリスニングの配点
試行調査では筆記(リーディング)とリスニングの配点が半々ずつとなっていました。
共通テストでは配点を均等にして実施し、重み付け等は活用する大学等に委ねるものとする。(P30)
共通テストでも配点は半々になるようですね。
大学によりそのままの配分で活用する場合もあれば、独自の配点を導入する場合もあるようですね。
共通テスト対策ではリスニングの対策が外せなくなりそうですね。
英語の民間試験では高2で受検できる特例が発表されました。
制度をよく理解することが大切ですね。
→高2の英語民間試験結果が共通テストで使える条件はこれ!【対象者は有利に!?】
試行調査(プレテスト)の結果:その他
その他の気になることを紹介します。
複数の正答を選ぶ問題はは見送り
複数の正解または正解のない問題を作って思考力を問うという話がありました。
このほかマーク式では、当てはまる選択肢を全て選ばせる新形式の問題が出されたが、採点でマークの読み取りに技術上の課題が残り、本番での出題を見合わせることになった。
大学共通テスト 記述式に課題 数学平均点は30点以下(1/2ページ) - 産経ニュース
より
技術上の問題があってやめるなら記述式も(人間の)技術上ばらつきが出てしまうんだからやめればいいのに。
共通テスト試行調査(プレテスト)結果まとめ
特に気になるのが数学の平均点が低すぎるのと、国語の記述問題の自己採点の難しさですね。
おそらく本番は数学も記述問題も答えやすい問題になると思うのですが、それならここまでコストをかけてやる必要があるのでしょうかね。
参考になる記事も紹介しておきますね。
大学共通テスト 本番は「満点」の態勢に:社説:中日新聞(CHUNICHI Web)
近年の大学入試は私立大学定員厳格化による合格者大幅減や大学入試改革により、より一層戦略を練る必要があります。
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