2020年からの大学入試改革ではセンター試験に代わって大学入学共通テストが導入されたり、英語の試験として英語の民間試験が取り入れられるなど入試に大きな変化がもたらされます。
その中で「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」に加え「主体性・多様性・協働性」を含めた「学力の3要素」を入試の合否判定に取り入れることも求められています。
そうした動きの中で高校教員・大学側ともに負担を減らすためにWEBを利用したeポートフォリオの利用が進められています。
しかし、今のところはあまりうまくいっていないようです。
そんなeポートフォリオを2022年から利用するというニュースが記事ありましたので紹介します。
大学入試の調査書電子化へ ボランティア経験など記載 高校生自ら登録も 文科省 - 毎日新聞
これまでのeポートフォリオについてはこちらを参考にしてくださいね。
→ポートフォリオ(活動記録)は手書き・・・入試の調査書どうなるの?
→大学入試でeポートフォリオを活用する大学は?既に2021年に利用しないことを表明した大学も
→eポートフォリオ( e-Portfolio)とはなんぞや?<大学入試の合否判定にも使われる!?>
2022年から調査書を電子化eポートフォリオへ
2020年の入試から利用すると言っていたような気がするのですが間に合わなかったのでしょうね。
息子の学校もeポートフォリオは利用していません。
そこで、文科省は2022年からは調査書を電子化すると決めたようです。
これ自体は調査書を記入する各高校側の手間も省けていいと思います。
大学の出願も電子化が進んでいるようなので調査書も電子化されたら受験生、大学側ともに効率化ができそうですね。
eポートフォリオで情報量を増やす試みも
さて、調査書の内容ですがこれまでは書く量が決まっていたんですね。
その量の制限をなくす試みをするようです。
現在はA4判1枚の表裏両面だが、大学入試改革で20年度から枚数が無制限になり、ボランティア経験や資格・検定、表彰など記入項目も細かくなる。
提出は電子化するのでどんなに量が多くなっても作業量は変わりませんが、読む方は大変なんじゃないですかね?
1枚2枚で不安だからと、小さなことまで(クラスの係レベルやちょっとした趣味など)記載して枚数を稼ぐなんてことにつながりませんかね?
eポートフォリオでは学生が自身で記入
先ほどの調査書の枚数が無制限になるのを受けて、教員の負担も指摘されています。
そこで学生自身が記載するという方法が検討されています。
記入生徒自身でも承認は教員
高校生自らが、生徒会や部活動に加え、自主的な調査や論文、災害ボランティアなど校外の活動記録を登録。記載内容が事実かどうか教員が承認する仕組みとなっている。
生徒自身が登録するのはいいと思います。
しかし、教師が承認ってどうすればいいのでしょうか?
学校内の活動なら承認も簡単かもしれませんが、災害ボランティアに参加したことが事実かどうかってどう確認するんでしょうか?
承認作業にはかなりの労力がかかりそう
たとえば、英検3級合格と生徒が記載したとしてそれを事実かどうか教員が承認するためには合格証を確認することになります。
合格証を一人一人承認していくことになりますが、一クラス分承認するのはかなりの労力がかかりそうですね。
しかも一人の生徒が大小いくつもの検定を受ける可能性もあります。というか入試制度がこのようになる以上、受ける検定は増えると予想されます。
検定の承認は分かりやすいと思いますが、活動によってはさらに承認作業に負担がかかりそうです。
eポートフォリオ大学の確認作業は?
大学側でも提出されたeポートフォリオを確認する必要があります。
調査書にサイトへアクセスするリンクを張り、大学側が調査書の内容を詳しく確認することができるようになる見込みだ。
言ってることは分かりますが、これって大学入試の現場で可能なのでしょうか?
人数が限られた推薦入試などならできるかもしれませんが、大学によっては何千人も受験生がいる一般入試でこれをやるのでしょうか?
eポートフォリオは本当に入試に使えるのか?
全くの素人から見て、いくら電子化したところで調査書を大学入試の合否判定に利用するのはかなり難しいように思えます。
高校生の生活の中で常に「調査書のために」という考えが浮かんでしまいそうです。
さらに本来自主的に行うボランティア活動がすでに強制的に全員やることになっているなど、主体性を評価できない調査書が出来上がってしまうのではないでしょうか?
実際どのような形なるのかはまだ分かりませんが、2022年の大学入試を受ける現中3生以降の方は今後も情報を集めた方が良さそうですね。
こちらでリアルな受験情報を集めることができます。